囲碁は、19×19路の碁盤の上で、「無の世界」から黒白がお互いに自己
の新たな拠点「有の世界」をつくり、陣地の広さを競います。
その戦いは、序盤中盤終盤と進んでいきますが、序盤の戦いで展開される
のが「布石と定石」です。
布石は、一局の碁をどういう方向へ持ってゆこうかという構想力、戦略が
問われ、大局的判断による全体的な戦いです。一方、定石は碁盤の主に隅に
おけるやりとりで部分的な戦いです。
前回、「定石覚えて二目弱くなり」と申しましたが、「定石は知りて忘れよ」
「名人に定石なし」という囲碁の諺もあります。
「定石を覚えて二目弱くなり」ということは、実戦において布石の構想・
戦略の方向と定石の戦術の方向が違った状況で、戦略戦術のミスマッチが
予想されます。
布石は全体戦の戦略ですが、定石は部分戦の戦術です。戦略・戦術が
しっかりと同期すれば、一気に二目以上は強くなるでしょう。実戦の布石
戦略が相手より優位性があればですが。
結論的には、「布石も定石」も「大局的視点から部分的でなく全体的
判断をしてゆきなさい」ということで、「名人に定石なし」ということ
でしょう。
一般社会においても、組織も企業も、全体の方向と部分部分の方向が
違ってバラバラに活動していては、成果は出てきませんよね。
定石は棋理と手筋の宝庫といわれます。囲碁の棋理と手筋をしっかり
学び、優位性ある布石戦略が確立できれば、囲碁は「自家薬籠中の物」
となるでしょう。お互いに棋力向上を目指して精進してゆきましょう。